「IPケータイの動向と各社の戦略」

【要約】
専用番号割当で期待
現在、IP(Internet Protocol)電話市場が拡大しつつある。

これまでブロードバンド・サービスの"おまけ"とみられることの多かったIP電話サービスだが、すでに2001年12月末時点で約160万のコンシューマ・ユーザを獲得している。

ヤフーの「BB Phone」や有線ブロードネットワークスの「GATE CALL」などがある。

また、普及を後押しするように、総務省も2002年9月27日から専用番号「050」の申請受付を開始した。

これに伴い、これまで発信機能のみであったIP電話サービスも双方向サービスが可能になる。

03年春に各社が参入
2003年春以降にはいよいよモバイル版のIP携帯電話サービスが登場する。

アイピートークや鷹山、ケイ・オプティコムなどだ。各社はデータ通信サービスのみならず、音声通話サービスも定額制で提供する方針だ。

ただ、無線LANカードを利用したIP携帯電話サービスでは、サービス・エリアが制限されるなど課題も残る。

既存の携帯電話サービスに比べ、まだ発展途上なものの"安さ"をウリに携帯電話や固定電話サービスへ戦いを挑む。

【キーワード】
☆音声もデータも定額!!
現在、PHSサービスにおける定額制データ通信サービスが好調だ。

これに加え、自社ユーザ間であれば、音声通話サービスも定額制となるインパクトは大きな魅力となる。

若年層におけるグループや企業内における携帯電話サービスなどからの一斉移行が期待できそうだ。

ただ、これには、たとえ通話料が現状と同等でも、IP携帯電話発信〜携帯電話着信ないし携帯電話発信〜IP携帯電話着信の実現が不可欠となる。

★エリアの問題!!
PHSデータ通信カードを利用したIP携帯電話サービスの場合、サービス・エリアは現状のPHSサービスのエリアに相乗りできる。

しかし、無線LANカードを利用する場合、無線LAN事業者の運営するホット・スポットや会社内、家庭内と限られた場所での利用に制限される。

通話や通信をするためにホット・スポットないし無線LANのエリアへ向かわなければならず、まるで公衆電話で電話をかけるかのようだ。

低価格が魅力のIP携帯電話サービスも、既存の携帯電話やPHSサービスに見劣りする可能性もある。

☆通話料が無料!!
参入を予定している各社の計画では、自社ユーザのIP携帯電話サービスであれば、無料通話が可能だ。

全国利用が可能な双方向トランシーバともいえる。

自社ユーザの中には、IP電話サービスも含まれ、コンシューマはもちろん、通話コスト削減に敏感な企業での利用も進みそうだ。

無線LANカードを利用したIP携帯電話サービスであれば、海外通話も無料となる。

【市場規模】
現在、データ通信サービスが普及しているとしても、実際の移動体通信事業者の収入は音声収入が多くを占めている。

こうした現状を踏まえると、定額制音声通話が可能なIP携帯電話サービスの普及も見込めるものと考えられる。

ただ、既存の携帯電話サービスを超えるものとはみられず、既存の携帯電話やPHSサービスからユーザを奪うことになるだろう。

また、無線LANカードによるIP携帯電話サービスよりも、PHSデータ通信カードを利用した方が普及していくものとみられる。

サービス・エリアが整備されてこその移動体通信サービスであり、発展途上のホット・スポットを頼りにするよりも、全国で利用可能なPHSサービスに相乗りした方がエリア面のメリットは大きいためだ。

表:IP携帯電話サービスの市場規模推移と予測(単位:万台)
年度    2003 → 2006
累積ユーザ 50→500
純増ユーザ 50→200
※エムレポート推定。

【IP携帯電話の行方】
性能/品質面の課題

現在、IP電話サービスの課題には、(1)接続品質(音質の基準や音のとぎれ、会話の間延びなど)、(2)伝送品質(IPパケットの遅延や損失率、誤り率など)、(3)性能評価方法、(4)輻輳時の対策、(5)緊急通報の確保などがあげられている。

これはIP携帯電話サービスにも当てはまる。

しかし、IP携帯電話/電話サービスは発展途上なサービスだけに、総務省などによる早期的な課題解決に期待がかかる。

正式版からの抜粋を含め、いろいろと本レポートをご紹介させていただきましたが、ご興味のある方はご購入いただければ幸いです。

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